繰り越し控除は、売却での損失による負担を複数年にわたって減税により補うもので、ぜひ活用したい制度です。
そこで今回は、不動産売却における譲渡損失の繰り越し控除についてフォーカスします。
買い替えの場合と買い替えなしの場合の概要を把握して、今後の参考にしてみてくださいね。
不動産売却の譲渡損失は繰り越し控除で補おう!買い替え時の概要とは?
そもそも繰り越し控除とは、不動産売却の翌年から最長3年間にわたって、所得税や住民税が軽減される特例のことです。
売却した年も合わせると、このような優遇措置を4回(4年分)受けられます。
不動産売却の譲渡損失における繰り越し控除には2パターンがありますが、まずは、買い替え時の繰り越し控除の概要をみていきましょう。
自宅を買い替える場合の譲渡損失の要件は、
●5年以上保有している自宅の売却
●合計所得が3,000万円以内
●敷地面積は500平米以内までが適用範囲
です。
また、買い替えた自宅についても下記のような要件があるため、注意しましょう。
●10年以上の住宅ローンがある
●建物の床面積が50平米以上
●新居を取得した翌年の12月31日までに買主が入居(または見込み)
●売却年の前年の1月1日から翌年の12月31日までに新居を取得
たとえば所得が500万円で譲渡損失が1,800万円の場合、この特例が適用されると3年間は課税0で、4年目に200万円に対して課税される計算に。
住宅ローン減税と併用は可能ですが、課税が0になる年は住宅ローン減税の恩恵を受けられません。
不動産売却における譲渡損失で買い替えなしの繰り越し控除をチェック
続いて、不動産売却における譲渡損失で買い替えなしの繰り越し控除についてご説明します。
買い替えなし(賃貸や実家に引っ越し)の場合の適用要件は、
●5年以上保有している自宅の売却
●合計所得が3,000万円以内
●売却価格が下記のローン残高を下回っている
●売却の前日に返済期間が10年以上のローンが残っている
です。
ただし、買い替え時の繰り越し控除とは計算方法が異なるため、注意しましょう。
買い替えなしの場合の損益通算(損失と利益の相殺)は、損失の額とローン残高から売却額を差し引いた額のうち、少ないほうが適用に。
たとえば所得が500万円で譲渡損失が2,000万円、ローン残高-売却額が1,200万円の場合を計算してみましょう。
すると、2年目までは課税0ですが、3年目は300万円に対して、4年目は500万円に対して課税されます。